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不動産が売れない原因一覧と根本原因の効果的な改善策を解説

不動産が売れず、どうすれば売れるのかわからないことでお悩みの方もいるでしょう。理由がわからなければ、改善もできません。
不動産が売れない理由は、以下のようなものが挙げられます。

①不動産に購入したくなるような魅力がない
不動産の外観や室内が汚く清潔感がない
・売り出し中の不動産が再建築不可物件
・売り出し中の不動産が旧耐震基準

②売り出し価格が適正ではない

③広告量が少ない

④販売図面やポータルサイトの掲載情報が魅力的ではない
・不動産を「見てみたい」と思わせるような写真が掲載されていない
・その不動産に住むメリットを感じられない

⑤周辺環境に問題がある
・立地条件が悪い
・浸水想定区域内に不動産がある

不動産会社が積極的に販売活動をおこなっていない

さらに、2021年1月に株式会社すむたすが不動産売買業従事者に対しておこなった「売れない・売れづらい不動産の理由」のアンケート調査によると、以下のような理由が上位となりました。

1位   売却希望価格が相場よりも高く設定されている
2位   共有部が汚い・状態が良くない
3位   築古で室内状況劣化
4位   設備が古い
5位   騒音問題がある
6位   管理費・修繕積立費が高額
7位   日当たりが悪い
8位   最寄り駅が遠い(徒歩15分以上)
9位   水害・浸水リスクがある
10位 治安リスクがある

不動産が売れない場合は、上記の原因のどれかに当てはまる場合がほとんどです。
根本原因を突き止めて改善をしなければ、いつまでたっても売れ残り続けてしまうかもしれません

そこで、本記事では以下のことを解説しています。

  • 不動産が売れない理由6選
  • 【データでわかる】不動産が売れない理由ランキング
  • 理由からわかる不動産が売れない根本原因
  • 不動産が売れない根本原因の改善策

本記事を読むことで、「なぜ不動産が売れないのか」という理由と、「売るためには何を改善すべきか」という改善策がわかります
不動産が売れないとお悩みの方は、ぜひ最後までお読みください。

1.不動産が売れない理由6選

不動産が売れない理由は、以下の通り。

①不動産に購入したくなるような魅力がない
・不動産の外観や室内が汚く清潔感がない
・売り出し中の不動産が再建築不可物件
・売り出し中の不動産が旧耐震基準

②売り出し価格が適正ではない

③広告量が少ない

④販売図面やポータルサイトの掲載情報が魅力的ではない
・不動産を「見てみたい」と思わせるような写真が掲載されていない
・その不動産に住むメリットを感じられない

⑤周辺環境に問題がある
・立地条件が悪い
浸水想定区域内に不動産がある

不動産会社が積極的に販売活動をおこなっていない

これらの理由についてご説明していきますので、見てみましょう。

1-1.不動産に購入したくなるような魅力がない

不動産を購入しようと考えている人は、安心して快適に暮らせることを前提としている人がほとんどです。
そのため、不動産自体に購入したくなるような魅力がなければ、「この不動産を購入したい」とは思ってもらえません。

「魅力のない不動産」となる原因として、以下のことが考えられます。

  • 不動産の外観や室内が汚く清潔感がない
  • 売り出し中の不動産が再建築不可物件
  • 売り出し中の不動産が旧耐震基準

ではこの原因について、もう少し詳しくご説明します。

1-1-1.不動産の外観や室内が汚く清潔感がない

室内に清潔感がなければ、不動産を購入してもらえる可能性は低くなります。
しかし、清潔感があり魅力的に見えるほど掃除をされている不動産は意外に少ないものです。

特に、以下のような部分は内覧の際に細かくチェックされるため、注意が必要。

  • 外壁の汚れ具合
  • 水回りの水垢やカビ
  • 壁紙の黒ずみなどの汚れ
  • フローリングの傷や畳の傷み具合

立地条件や売り出し価格に問題がなくても、不動産自体が汚ければ買主を見つけるのは難しいでしょう。

1-1-2.売り出し中の不動産が再建築不可物件

再建築不可物件は都市計画区域内と、準都市計画区域内にあり、「建築物の敷地が建築基準法上の道路に2m以上接しなければならない」という接道義務に反しているため、現在建築物が建っていたとしても一度更地にしてしまうと再度建築物を建てることができない物件です。

  • 建築基準法ができた1950年以前に建てられた建築物
  • (準)都市計画区域に指定されるよりも前に建てられた建築物

このような建築物の中に再建築不可物件はあり、築年数が古い場合が多いため、再建築できないというデメリットから避けられる傾向があります

1-1-3.売り出し中の不動産が旧耐震基準

旧耐震基準とは、1981年5月31日まで適用されていた「地震に耐えることのできる構造の基準」です。
1981年6月からは基準が変わり、新耐震基準に変更となりました。

旧耐震基準と新耐震基準の違いは以下の通り。

旧耐震基準

震度5程度の揺れで倒壊、あるいは崩壊しない

新耐震基準

震度6強〜7程度の揺れでも倒壊、崩壊しない

このように新耐震基準の不動産は、より地震に強い構造となっているのです

震度5以上の地震は毎年のように発生しており、地震に対して非常に敏感な人は多くいます。
倒壊するかもしれない不動産を購入したくないと思われてしまう可能性が考えられるでしょう。

1-2.売り出し価格が適正ではない

売り出し価格が適正でなければ、そもそも不動産自体に興味を持ってもらえません
周辺で同程度の物件が売りに出されていた場合、購入希望者は価格が安い方に興味を持ってしまうでしょう。

不動産会社が提示してきた査定価格を鵜呑みにして売り出し価格を決めてしまった場合は、その価格は適正でない可能性もあります。
査定価格とは、「売れる保証のある価格」ではないので、必ずしも適正価格であるとは限らないからです。

1-3.広告量が少ない

不動産会社は不動産が売れることで利益になるため、「しっかり宣伝してくれているはず」と思い込んでしまうかもしれませんが、十分に広告を出してもらえているかは自分で確認しておかなければなりません

自社のホームページであれば掲載に費用は必要はかかりませんが、大手不動産ポータルサイトに掲載するためには掲載料が必要で、これは不動産会社の負担となります。
そのため、不動産会社にとって売却の優先度が低い不動産は、費用のかかるサイトには掲載しない可能性もあるのです。

1-4.販売図面やポータルサイトの掲載情報が魅力的ではない

内覧するかどうかは販売図面やポータルサイトの情報で判断されます
つまり、これらの掲載情報に魅力が感じられなければ、内覧まで至らないということです。

魅力を感じない掲載情報とはどんなものかと言うと、

  • 不動産を「見てみたい」と思わせるような写真が掲載されていない
  • 広告だけではその不動産に住むメリットを感じられない

この2つが挙げられます。
これらの原因についてご説明します。

1-4-1.不動産を「見てみたい」と思わせるような写真が掲載されていない

不動産の写真は、「その不動産は内覧する価値があるかどうか」を判断するための大切なポイント
そのため、

  • 図面と周辺施設の写真のみ
  • 外観の写真のみ
  • 室内の写真はあるけど、暗くて清潔感を感じられない

このような写真では、内覧をしたいと思わせるのは難しいでしょう。

1-4-2.その不動産に住むメリットを感じられない

不動産のアピールポイントを記載していないと、その不動産の魅力に気付いてもらえません。
こだわりの内装や充実した周辺施設、アクセスの良さなどのメリットは、広告に記載されていなければ内覧前の購入希望者に知ってもらうことができません。
せっかくのアピールポイントは広告で活用しなければ意味がないのです。

1-5.周辺環境に問題がある

快適に暮らすために購入希望者が妥協したくないポイントには、不動産だけでなく周辺環境も含まれます。
不動産自体が非常に理想通りで魅力的であったとしても、周辺環境に問題があれば「住みたい」とは思われません

周辺環境の問題は以下の2つが考えられます

  • 立地条件が悪い
  • 浸水想定区域内に不動産がある

では、これらの原因についてご説明します。

1-5-1.立地条件が悪い

立地条件の悪い不動産の条件は以下のようなものが挙げられます。

  • 駅までの距離が離れている
  • 周辺にスーパーやコンビニなどがない
  • 周辺に公園や児童館や学校などがなく子育てに適していない

このような場合、不動産自体に問題がなくても立地条件がネックとなって売れないということも考えられるでしょう

1-5-3.浸水想定区域内に不動産がある

浸水の可能性がある不動産は、大雨や台風などのたびに河川が氾濫しないかと不安な気持ちで過ごさなければならず、可能な限り避けたいと思われてしまいます。

そのため浸水想定区域内に不動産がある場合、売るのが難しくなるでしょう。

1-6.不動産会社が積極的に販売活動をおこなっていない

不動産を売りに出してからまったく問合せもなく、内覧希望もない場合は不動産会社が原因である可能性も考えられます

不動産を売りに出す場合は媒介契約を結びますが、媒介契約の期限は3ヶ月以内に設定されることがほとんど。
この期限によって売主は定期的に不動産会社の見直しができるように配慮されているのですが、期限が切れてしまえば売主が更新するとは限らないため、不動産会社は不動産が期限内に売れるように販売活動をおこなわなくてはいけません

そのため、決められた期限内に内覧希望者がほとんどこないのであれば、不動産会社を見直す必要があるでしょう

媒介契約についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
一般媒介と専任媒介の違いとは?どっちを選ぶべきか徹底解説!

2.【データで分かる】不動産が売れない理由ランキング

2021年1月に株式会社すむたすが不動産売買業従事者に対して「売れない・売れづらい不動産の理由」に関しておこなったアンケート調査の結果を発表しました。
結果の中から、「当てはまる」「やや当てはまる」の回答が多かった順に、1~10位までの不動産が売れない理由を抜き出したものが以下のグラフです。

参考:PR TIMES、「売れない・売れづらい不動産の理由」に関する意識調査

これらは不動産売買業に従事している現場の人たちが回答しているので、これらの理由は不動産を売る上で大切なポイントと言えるでしょう。
では、1~10位までの売れない理由について詳しく見てみましょう。

【1位】売却希望価格が相場よりも高く設定されている

不動産を探す場合、さまざまな物件を見比べるため買主にも大体の相場感はわかってくるでしょう。
そのため、周辺で売りに出されている中古不動産の相場よりも高ければ、内覧前の時点で候補から外されてしまう可能性は高いと言えます。

【2位】共有部が汚い・状態が良くない

不動産が戸建てではなくマンションの場合は、室内だけでなく共有部も見られます
いくら室内は綺麗でも、共有部にゴミが散らかっていたり、まったく清掃されている雰囲気がなければ、管理されていないマンションという印象を与えてしまい、「このマンションには住みたくない」と思われてしまいます。

【3位】築古で室内状況劣化

築古の物件はさまざまな箇所が傷んでいたり劣化しているため、掃除をする程度では見栄えを良くすることはできません。

特に、

  • 床の軋み
  • 壁紙のシミや汚れ
  • 水回りにこびりついた水垢やカビ

このようにあまりにも劣化がひどい場合は、そのまま売るのは難しいでしょう。

【4位】設備が古い

設備が古い場合も、快適に暮らせるイメージもわかないため「住みたい」と思ってもらえない可能性があります。

上記の写真のような

  • お風呂のバランス釜
  • カメラもマイクもついてない玄関チャイム

などは古さを感じさせる設備と言えるでしょう。

もしその不動産を購入したとしても、設備を交換しなければならない可能性があるため、売れない原因となります。

【5位】騒音問題がある

騒音として挙げられるのは、

  • 幹線道路沿い
  • 高速道路のそば
  • 線路のそば

このような乗り物の騒音がまず考えられます。
その他にも、マンションであれば上階や隣の足音や楽器などの音も、人によっては騒音と感じられるでしょう。

【6位】管理費・修繕積立費が高額

管理費と修繕積立費が高額な場合、ローンの支払いに加えて管理費と修繕積立費が毎月必要となるため、総合的に考えて「高い」という印象を持たれてしまいます。

管理費・修繕積立費が高い不動産の特徴は以下の通り。

  • マンション全体の戸数が20戸以下
  • タワーマンション
  • ジムなどの特別な設備や施設がある
  • 噴水や温泉施設など水を使った施設がある
  • コンシェルジュがいる

マンション自体の戸数が少ない場合は、建物や設備の維持管理に必要な金額を少ない戸数で負担するため、管理費や修繕積立費が高くなってしまいます。
タワーマンションの場合は外壁の修繕費などにコストがかかり、さらに特別なサービスや施設があれば、それらにも維持費がかかるため、管理費や修繕積立費はおのずと高額になります。

ローンを払い終わっても毎月支払うことになる費用であるため、マンションを購入したいと考えている人にとって「高額な管理費・修繕積立費」は購入に踏み切れない原因となるでしょう。

【7位】日当たりが悪い

日当たりは、不動産を選ぶ際に重視されやすいポイントです。
日当たりの悪くなる原因として、隣の家が近く日が差し込まないということが考えられますが、その場合風通しも悪くなり湿度も上がりやすいため、結露やカビの原因にもなります

内見では日当たりが悪く部屋が暗く見えることで、清潔感を感じられない可能性もあるでしょう

【8位】最寄り駅が遠い(徒歩15分以上)

駅までの所要時間は、不動産を絞り込む際にも条件としてよく挙げられます。
通勤をする人は毎日駅までの道を歩かなければならないため、駅から遠いと「通勤がつらい」と感じてしまうでしょう

「駅から徒歩10分以内」で不動産を探す人も多く、徒歩15分以上となると条件が絞り込まれた結果、候補から外れてしまう可能性が高いのです。

【9位】水害・浸水リスクがある

最近では記録的豪雨に見舞われることも多く、不動産購入を検討している人も過敏になるポイントと言えます。
国土交通省は2020年8月28日から、不動産取引時に「水害ハザードマップ」を使用して不動産の水害リスクについて説明しなければならないことを、宅地建物取引業者に義務化しました。
浸水想定区域は購入希望者全員に説明されるため、区域内の不動産は売れない可能性が高くなってしまいます。

【10位】治安リスクがある

治安は前述した通り、「駅名や地名+治安」で検索するとさまざまなサイトが住み心地や治安について紹介していますし、警視庁の「犯罪情報マップ」も簡単に確認することができます。

出典:警視庁、犯罪情報マップ

治安が悪い地域は避けたいと考える人が多いため、悪い評判がある地域の不動産は避けられる可能性があるでしょう

3.理由からわかる不動産が売れない根本原因

ここまで、考えうる不動産が売れない理由と、不動産売買業従事者が考える「売れない・売れづらい不動産の理由」のランキングについてご説明しましたが、これらを踏まえた上で考えられる「不動産が売れない根本原因」は以下の通りです。

  • 売り出し価格が相場よりも高い
  • 不動産の外観や内観が汚い・古い
  • デメリットの伝え方で不安を与えている
  • 周辺環境によって不安を持たれる

なぜこれらが根本原因だと考えられるのかについて、ご説明します。

3-1.売り出し価格が相場よりも高い

ランキング1位にある通り、売り出し価格が相場よりも高ければ、当然不動産は売れません。
周囲に同じような条件の中古不動産が売りに出されていれば、そちらに購入希望者が集まってしまいます。

相場価格は以下の影響によって変動するため、定期的に見直しが必要です。

  • 築年数
  • 周辺の中古物件の需要
  • 株価

相場を調べて売り出し価格を見直す方法は【4-1.相場よりも高い場合は売り出し価格を見直す】をご覧ください。

この根本原因が当てはまる「売れない・売れづらい不動産の理由」のランキング順位
・1位   売却希望価格が相場よりも高く設定されている
・8位   最寄り駅が遠い

3-2.不動産の外観や内観が汚い・古い

マンションの共有部を含め、不動産の外観や内観が汚ければ、「そこに住みたい」とは感じてもらえません共有部や築年数などは関係なく、少しでも不動産を魅力的に見せるために掃除や整理整頓をしましょう

また、設備の古さは交換を考えなければならず、不動産購入後の出費を懸念されたり、快適に暮らせるイメージができないことから購入してもらえない可能性が高いことを覚えておきましょう。

不動産を魅力的に見せるための方法は【4-2.掃除と簡易リフォームをおこなう】をご覧ください。

この根本原因が当てはまる「売れない・売れづらい不動産の理由」のランキング順位
・2位   共有部が汚い・状態が良くない
・3位   築古で室内状況劣化
・4位   設備が古い

3-3.デメリットの伝え方で不安を与えている

不動産のデメリットや立地条件の悪さなどをただそのまま伝えるだけでは、いい印象を与えられないどころか購入希望者に不安を与えてしまうでしょう。

不動産のデメリットは伝え方ひとつで印象は大きく変わるため、不安を与えるような伝え方をしていては売れ残ってしまう可能性も高くなります。

デメリットの伝え方については【4-3.不動産のデメリットは伝え方を工夫する】をご覧ください。

この根本原因が当てはまる「売れない・売れづらい不動産の理由」のランキング順位
・5位   騒音問題がある
・6位   管理費・修繕積立費が高額
・7位   日当たりが悪い 

3-4.周辺環境によって不安を持たれる

周辺環境の問題として、以下のようなものが考えられます。

  • 駅までの距離
  • 水害のリスクがある
  • 治安が悪い

これらは、売主が努力して変えられるものではありません。
これらの問題に対する伝え方や、問題を考慮した価格設定が必要となるでしょう。

周辺環境に合わせた価格設定については【4-4.周辺環境や不動産の問題を考慮した価格設定にする】をご覧ください。

この根本原因が当てはまる「売れない・売れづらい不動産の理由」のランキング順位
・9位   水害・浸水リスクがある
・10位 治安が悪い

4.不動産が売れない根本原因の改善策

不動産が売れない場合に大切なのは、いかにこの根本原因を改善するかです。
思い当たる根本原因があれば、以下の改善策を参考にしてください。

  • 相場よりも高い場合は売り出し価格を見直す
  • 掃除と簡易リフォームをおこなう
  • 不動産のデメリットは伝え方を工夫する
  • 周辺環境や不動産の問題を考慮した価格設定にする

では、解決方法について詳しくご説明します。

4-1.相場よりも高い場合は売り出し価格を見直す

売り出し価格を見直すためには、周辺の相場を知らなくてはどの程度値下げすべきかもわかりません。

相場を調べるための方法は以下の通りです。

  • 周辺の売却相場を調べて適正な価格設定にする
  • 複数の不動産会社に査定を依頼して相場を予測する

これらを1つずつご説明していきます。

4-1-1.周辺の売却相場を調べて相場に沿った価格設定にする

周辺で売りに出されている中古不動産や新築不動産の価格を調べて、自分が売りに出している不動産の売り出し価格は相場よりも高くないか確認してみましょう。

周囲で不動産が売りに出されていない場合でも、「レインズマーケットインフォメーション」という不動産売引情報提供サイトから、直近1年間に取引された不動産の価格情報を見ることができます。

出典:レインズマーケットインフォメーション

もしも相場よりも高い場合は、相場に沿った価格に値下げをしましょう。

売却相場の調べ方についてより詳しく知りたい方は以下の記事を参考にしてください。
家の売却相場はいくら?最新の相場動向と自分の家の相場を調べる方法

4-1-2.複数の不動産会社に査定を依頼して査定額を予測する

周辺の売却相場を確認したら、実際に不動産会社に査定をしてもらうことで、より正確な相場価格がわかります
不動産を売りに出してしばらく経つのに売れない場合、不動産会社を変えた方がいい可能性も高いので、査定額で相場感を知るだけでなく不動産会社選びも同時におこないましょう

不動産会社は1社だけでは査定額が相応な金額なのか判断ができないため、複数の不動産会社に査定してもらうことが大切です。
複数の不動産会社に一括で査定を依頼できるサービスもあるため、査定依頼の際には活用しましょう。

複数の不動産会社に査定を依頼した場合、不動産会社によって査定額は異なるため、査定額の根拠を確認してみてください
根拠がはっきりとしている査定額は信用できる可能性が高いため、信用できる査定額の平均値を相場と考えましょう。

不動産査定について詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
不動産は査定が重要!査定方法について解説

4-2.掃除と簡易リフォームをおこなう

物件を魅力的に見せるためには、以下の中から必要な対策を取りましょう。

  • 共有部の清掃
  • 室内の徹底的な掃除
  • 部分的なハウスクリーニングやリフォーム
  • 古い設備の交換

では、1つずつご説明していきます。

4-2-1.共有部の清掃をする

管理費を支払っているのであれば、管理会社に連絡して清掃を定期的にして欲しいことを伝えることはできます。
しかし、すぐに改善されるとは限りませんし、清掃されておらず汚い状態で内覧の予定が入ってしまうこともあるかもしれません。
そのような場合は、内覧前に自分で共有部の清掃をしておきましょう

  • ポスト周りに散乱しているチラシを片付ける
  • エントランスの枯れ葉やごみを履いて掃除する
  • 汚れが気になる箇所は拭き掃除をする

これだけでもかなり印象は変わるはずです。
マンションのエントランス部分だけでなく、売り出している不動産のある階もきれいにしておきましょう。

4-2-2.室内の徹底的な掃除をする

室内は大掃除よりも気合を入れて、徹底的な掃除をしましょう。

  • 出しっぱなしにしているものは片付けておく
  • 出しておくものは必要最低限まで減らす
  • 水回りの水垢やカビを徹底的に落とす
  • 壁や床の汚れをなくす

このようなことを意識して掃除や整理整頓をおこなってください。
片付けきれない場合はレンタルスペースを借りるなどして物を移動させておきましょう。

4-2-3.部分的なハウスクリーニングやリフォームをする

掃除をしても、自分たちの手では落としきれない汚れやどうにもならないキズを発見することもあります。
そのようなポイントも放っておくと、部屋が汚く見えてしまう原因に。
特に、以下のような汚れは、部分的なハウスクリーニングやリフォームをプロにお任せした方がいいでしょう。

  • 水回りにこびりついてとれない水垢
  • 壁紙の黒ずみ
  • 床のキズ

部分的に頼むのであれば、以下のように費用も高額にはなりません。

依頼内容

費用相場

お風呂のクリーニング

12,000円~

壁紙の張り替え

1平米あたり800~1,500円

フローリングの重ね張り

1畳あたり2~5万円

フローリングの張り替え

1畳あたり3~6万円

業者に依頼する箇所を検討し、どの部分を頼めば清潔感が出せるかを検討してみましょう。

4-2-4.古い設備を交換する

インターホンではなくチャイムのみであったり、お風呂がバランス釜を使っているなど、設備が古いと汚い印象を与えるだけでなく、快適に暮らせるイメージが湧きません。
そのため、可能な範囲で古い設備は新しいものに交換しておきましょう

例えば、玄関チャイムをインターホンに変えるだけでも印象はかなり変わりますし、取り替える費用は業者に頼んだ場合でも数万円あれば交換が可能です。

お風呂がバランス釜の場合、浴室内をいくらきれいにしていても浴槽の狭さやリモコンのないお風呂に引かれてしまう可能性があるため、リフォームを検討すべきでしょう。
バランス釜からユニットバスに交換する場合は高額な費用がかかりますが、給排気口の中にバランス釜を納めるホールインワンへのリフォームであれば20~25万円程度に費用を抑えることができ、浴槽も広くなるため見栄えも格段に良くなります。

4-3.不動産のデメリットは伝え方を工夫する

不動産にデメリットがある場合、伝え方ひとつで印象は大きく変わります。
ここでは、

  • 管理費・修繕費が高額
  • 不動産自体にデメリットがある場合
  • 騒音問題がある場合
  • 治安に問題がある場合

このようなデメリットに対して、どのように購入希望者に伝えればいいかをご説明します。

4-3-1.管理費・修繕積立費が高額な理由を説明する

マンションの場合は管理費や修繕費がかかりますが、それらが高額な場合は必ず高額になる理由があります。

  • 管理人が常駐している
  • 修繕がこまめにおこなわれている
  • 周辺のマンションにはない特別な施設や設備がある

このような、マンション自体の魅力となる部分は管理費や修繕積立費がなければできないことです

管理費や修繕積立費が高額であることに納得してもらうには、売りたい不動産を管理している不動産会社に連絡をし、管理費や修繕積立費がどのようなことに使われているのか確認しましょう。

  • 修繕の頻度
  • 清掃の頻度
  • エレベーターの点検頻度
  • 管理人が常駐しているかどうか

このようなことを内覧の際に説明することで安心して暮らせることを理解してもらえるため、管理費や修繕費が高額な分得られるメリットを理解してもらえるでしょう。

4-3-2.不動産自体のデメリットは先に伝える

不動産自体にデメリットがあると、説明を後回しにしたくなりますよね。
しかし、デメリットは先に説明してから他の場所を説明した方が、悪い印象を和らげることができるため、早めに説明を済ませておくことが大切。

なぜなら「人は最後の印象が残りやすく、後の判断に大きな影響を与える」という新近効果と呼ばれる心理効果があり、デメリットを先に説明することで悪い印象を和らげることができるからです。

不動産にいい印象を残して帰ってもらうためにも、デメリットは先に伝えましょう。

4-3-3.騒音がある場合は時間帯やどんな騒音なのかを説明する

騒音は人によって感じ方が異なるもの。
マンションで上の階に小さな子供が住んでおり、バタバタと走る音が聞こえるのを騒音だと感じる人もいれば気にならない人もいます。
また、騒音を感じる時間帯によって、「その時間は家にいないから問題ない」という人もいるでしょう。

そのため、ただ騒音があると伝えるのではなく、「どの程度の騒音なのか」を伝えることが大切なのです
騒音について明確に伝えるためにも、以下のようなことをまとめておきましょう。

  • 騒音のある時間帯
  • どのような騒音なのか(足音、楽器の音、電車が通過する音など)
  • どの程度聞こえるのか(窓を閉めていれば気にならない、会話は普通にできるなど)

このように具体的に伝えておくことで、「その程度なら問題ない」と感じてもらえることもありますので、購入希望者に安心感を持ってもらうためにも騒音の詳細を伝えられるようにしておきましょう。

4-3-4.治安が悪い地域の場合は不動産周辺が安心して住める環境であることをアピール

治安が悪いというのは、地域的な印象であったり主観的なことが多いもの。
犯罪発生率で見られることもあるかもしれませんが、住んでみて犯罪が発生した話しを聞いたり、注意喚起されるようなことがなければ、売り出し中の不動産周辺では問題視されるような犯罪は起きていないと言えます。

しかし、「治安は悪くないですよ」といったところで、購入希望者には不動産を売りたいがために言っているようにしか聞こえない可能性もあるため、「治安が悪くない」を強調するのではなく、「安心して暮らせる」ポイントを伝えるべきです

例えば、

  • 近くの並木道は散歩やジョギングをする人が多く、夜も人目が多いので安心です
  • この辺りは住宅街ですが、街灯が多くて夜間でも明るさがあり人通りもあります

このように、安心感を伝えられるようなポイントを伝えましょう
ただ、「治安は悪くない」と言われるよりも、こちらの方がずっと印象は良くなるはずですよ。

4-4.周辺環境や不動産の問題を考慮した価格設定にする

売主には改善のしようがない以下のような問題もあります。

  • 浸水想定区域内の不動産
  • 旧耐震基準の不動産
  • 再建築不可物件の不動産

このような場合は、どのように不動産を魅力的に見せても根本問題が解決しません。
もちろん、購入希望者が買いたくなるように不動産をより良く見せることは大切ですが、同時に値下げを検討した方がいいでしょう
値下げの目安は以下を参考にしてください。

周辺環境や不動産の問題

値下げの目安

浸水被害があった不動産

相場の2~3割値下げ

旧耐震基準

リフォーム相当分値下げ

再建築不可物件

相場の3~5割値下げ

このような不動産の場合、次にご紹介する不動産買取を検討してみるのもいいでしょう。

5.どうしても売れないなら不動産買取を利用しよう

根本原因の解決方法を試してみたけど不動産が売れない場合や、早く不動産を手放したいという場合は、不動産買取を利用しましょう

不動産買取とは、不動産会社に不動産を買い取ってもらうことを言います。
不動産会社と契約すればすぐに不動産を売却することができるため、

  • 買主を探す必要がない
  • 現金化までに必要な日数は1週間~1ヶ月ほど
  • 仲介手数料は必要ない
  • 瑕疵担保責任が発生しない

このようなメリットがあります。

「それなら最初から買取をしてもらえばいいのでは?」とお考えの方もいるかもしれませんが、不動産買取の場合は仲介で売却するよりも売却金額が3~4割ほど下がってしまいます
そのため、仲介で売れる可能性のある不動産の売却を不動産買取にした場合、大きく損をしてしまう可能性があるのです。
なので、どうしても不動産が売れない場合や早く手放したい場合でなければ、まず仲介で売り出した方が高く売れるでしょう。

少しでも不動産を高く買取してもらいたいという方は、以下の記事を参考にしてください。
【家の買取】2日で売れるが仲介の3割減!損をしない4つのコツ
空き家買取とは?仲介との違いや向いている人・売却までの流れを解説
不動産の買取とは不動産会社が直接買い取ること|おすすめな人の条件

6.まとめ

不動産が売れない場合に考えられる理由は以下の通りです。

【不動産が売れない理由一覧】

①不動産に購入したくなるような魅力がない
②売り出し価格が適正ではない
③広告量が少ない
④販売図面やポータルサイトの掲載情報が魅力的ではない
⑤周辺環境に問題がある
⑥不動産会社が積極的に販売活動をおこなっていない

【不動産売買業従事者が考える売れない理由ランキング】

1位 売却希望価格が相場よりも高く設定されている
2位 共有部が汚い・状態が良くない
3位 築古で室内状況劣化
4位 設備が古い
5位 騒音問題がある
6位 管理費・修繕積立費が高額
7位 日当たりが悪い
8位 最寄り駅が遠い(徒歩15分以上)
9位 水害・浸水リスクがある
10位 治安リスクがある

このことから、以下のような根本原因と改善策が考えられます。

  • 売り出し価格が高い → 相場よりも高い場合は売り出し価格を見直す
  • 不動産の外観や内観が汚い・古い → 掃除と簡易リフォームをおこなう
  • デメリットの伝え方で不安を与えている → 不動産のデメリットは伝え方を工夫する
  • 周辺環境によって不安を持たれる → 周辺環境や不動産の問題を考慮した価格設定にする

まず不動産が売れない原因を突き止めて、原因に合わせた対処法を試しましょう。
何をやっても売れない場合は、不動産買取の利用を検討してください。

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