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【家の査定】匿名査定・一括査定・不動産屋査定の違いと基礎知識

「家を売るとしたら、いくらくらいになるのかな?」
「ちょっと査定してみたいけど、個人情報がバレるのはイヤだな」
あなたは今、こんなふうに迷っていませんか。

家の値段を調べてみたいけど、不動産屋からたくさん営業電話が来るのは困るし、個人情報が漏れるのもイヤ。もちろん無料で、気軽に、誰にも知られずに、家の価格を調べられたらいいですよね。

そんなあなたには「匿名査定(AI査定)」がおススメです。
個人情報は入力不要。ネット上で家の情報を入力するだけで、既存データベースから算出されたおおまかな価格がわかります。

もう少し売却を真剣に考えているなら、「一括査定」がおススメです。
個人情報は入力しますが、複数の不動産会社に一斉送信されるので価格の比較検討ができ、相場の把握ができるからです。また信頼できそうな不動産会社を探すのにも役立ちます。

急いで売却されたい方、確実に売却されたい方、頼みたい不動産会社が決まっている方は、直接気になる不動産会社に査定を依頼してみてください。
詳細な査定が出てくるので、話が早く進みます。

このように査定にはいくつか種類があり、売却したい人のニーズによって最適なものが変わります。
今回の記事では、無料でできる「匿名査定(AI査定)」「一括査定」「不動産会社査定」の特徴とメリット・デメリットをお伝えします。

また、家の査定で失敗しないために、査定の基礎知識を知っておくと安心です。

  • 家の査定の流れ
  • 家の査定前にやっておくべきこと、準備すべき書類
  • 家の査定でどこを見られるのか
  • 高く査定してもらうには

……についても併せてお伝えします。

選択肢や流れを知って、査定で損をしないようにしてください。

1. 無料でできる家の査定は【匿名査定(AI査定)】【一括査定】【不動産会社査定】の3種類

無料でできる家の査定は、主に3種類あります。

  • オンラインででき、個人情報入力不要な「匿名査定(AI査定)」
  • オンラインで複数の不動産会社に一括依頼でき、比較検討ができて相場も分かる「一括査定」
  • オンラインや電話・対面で依頼し、詳細な査定ができる「不動産会社査定」

それぞれの特徴とメリット・デメリットをご説明します。

1-1.個人情報を知られたくないときは【匿名査定】

「今すぐ売るかどうかは決めていないが、ちょっと家の値段を調べてみたい」
「今が売り時なら売ってもいいかな」
そんなふうに、売却に興味はあるけどまだ本気ではなく、とりあえず軽く調べてみたいという方には「匿名査定(AI査定)」がおススメです。
既存の売買のデータベースをもとに、物件の条件の入力だけで短時間に概算を出してくれるからです。

1-1-1.匿名査定」のメリットは誰にも知られずにすぐ概算が分かる

「匿名査定」はオンラインで物件の情報を入力するだけでよく、個人情報は不要。そのため、調べた後に不動産会社から営業電話が来ることも、あなたが家を売ろうとしている事がどこかに漏れることもありません。(査定の結果を受け取るためにメールアドレスは必要になる場合がありますが、サイトに届くだけで不動産会社には伝わりません。)

しかも査定時間が早く、瞬時に結果が分かります。

1-1-2.「匿名査定」のデメリットは価格はあくまで目安にしかならない

データベース(類似物件例)からの概算になるので、価格の表示が「2500万〜3000万」というようなザックリしたものになります。500万円以上の開きが出ることも珍しくありません。

また、サイトによって査定に使っているデータベースが違い、実際に売れた価格をもとにしているのか、売り出した時の価格をもとにしているのかもまちまちです。

1-1-3.「匿名査定」は売却を考え始めた時に参考として使う

「匿名査定」で出た価格が高くても、いざ不動産会社に「訪問査定」を頼んでみたらそれよりずっと安くなったということはよくあります。
実際に見てみないと家の状態や環境がわからないため、正確な価格は出てこないからです。
「匿名査定」は、あくまでも売却の最初の参考として使うようにしましょう。

戸建ての場合、「匿名査定」と不動産会社の「訪問査定」では数千万円の差が出ることもある

「匿名査定」は、マンションの場合は比較的に目安になりますが、戸建ての場合はあまりあてにならないこともあります。
戸建ての方が、物件の状況によりケースバイケースで価格に差が出るからです。
ひどい時には、「匿名査定」と不動産会社の「訪問査定」で数千万円の差が出ることもあります。

戸建てで売却を真剣に検討する場合は、「一括査定」を受け、その後に不動産会社の「訪問査定」を受けてください。(1-2.相場が知りたい・不動産会社を比較したい時は【一括査定】 「1-3.早く確実に売りたいときは【不動産会社査定】」を参照。)

1-1-4.おススメの「匿名査定」サイト

いくつか人気の「匿名査定」サイトをご紹介します。

「HowMa」
利用者の満足度94%、AIがビッグデータから瞬時に査定。マンション査定の精度の高さに定評があります。

「LIFULL HOME’S」
有名不動産ポータルサイトの匿名査定サービス。複数の不動産会社から査定額が届き、その中から気になるものがあれば自分の方から連絡する仕組み。不動産会社には依頼者のメールアドレスは届かないので安心。

「IESHiL」
首都圏のマンション査定におススメ。約9000万件の現在の賃貸情報や売買履歴等をもとにしたリアルタイム査定がウリです。

実際の成約価格が分かる「レインズ・マーケットインフォメーション」「不動産取引価格情報検索」

家の相場が知りたいなら、日本全国で取引されている物件の成約価格が分かる「レインズ・マーケットインフォメーション」や国土交通省のシステム「不動産取引価格情報検索」を使う方法もあります。

レインズ・マーケットインフォメーション
国土交通省から指定を受けた不動産流通機構が運営していて、全国の不動産会社が扱う売買の最新の状況が分かります。

 

●「不動産取引価格情報検索
国土交通省がアンケートで調べたものですが、全取引の約3割は載っていて、だいたいの相場は分かるようになっています。土地や家、マンションの成約価格や物件の駅からの距離、広さ、建築年など細かい条件まで分かるので類似物件例が探しやすいのが特徴です。

1-2.相場が知りたい・不動産会社を比較したい時は【一括査定】

「家の売却を考えている」「でもどこの不動産に頼むかは決まっていない」
家の売却を真剣に考えているけれど不動産会社に当てがなく、なおかつ少しでも高く売りたい方には「一括査定」がおススメです。
オンラインによる一度の入力で複数の不動産会社に一括査定でき、複数の結果を見る事で家の相場が分かります。

1-2-1.「一括査定」のメリットは同時に複数の不動産会社を検討できる

いっぺんに複数の不動産会社から価格や売却プラン等が受け取れるので、自分の家の相場が把握でき、その中から条件や考えが自分に合う会社を選ぶ事もできます。
また、不動産会社の方も競争相手を意識して、少しでも良い条件を出してくる可能性があります。

1-2-2.「一括査定」のデメリットは営業電話やメールが来る

個人情報を入力するため、不動産会社から営業電話やメールが来ることは覚悟しなければなりません。
また、「匿名査定(AI査定)」よりは時間がかかり、場合によっては数日かかることもあります。
結果の受け取り方もメールや郵送等、それぞれ違います。

さらに、「一括査定」はサイトに登録してある会社から自分でいくつか選ぶ(あるいは自動で選ばれる)ので、この中に本当にあなたに合った会社があるかどうかは分かりません。
納得がいく会社がない時は、さらにいくつかのサイトで「一括査定」した方がいいでしょう。

1-2-3.「一括査定」は不動産会社を選ぶ手段として使う

「一括査定」は不動産会社を選ぶ足がかりとして使うのがおススメです。
回答が来た会社の中から気になるところを3社くらいに絞り込み、次の段階である「訪問査定」を依頼するものいいですし(「2.家の査定の流れ」を参照)、だいたいの相場や売却プランを把握したところで、もっと他にいい会社はないか探すのもアリです。

1-2-4.おススメの「一括査定」サイト

いくつか人気の一括査定サイトをご紹介します。

①「HOME4U
2001年に誕生した日本初の不動産一括サイト。NTTデータグループの運営でセキュリティも安心。大手から地域密着型の企業まで約1,500社と提携し、物件と相性の良い会社を選んでくれます。

「イエウール」
全国厳選1,600社以上から最大6社と比較できる人気サイト。利用者からクレームが多い企業は排除するシルテムなので、優良会社が集まっています。地方に強いところも魅力です。

「すまいValue」
業界をリードする大手6社(小田急不動産・住友不動産販売・東急リバブル・野村の仲介+・三井不動産リアルティ・三菱地所ハウスネット)が運営する不動産売却ポータルサイト。6社合計で全国890店舗、2019年度成約件数11万件以上の販売力が魅力です。

1-3.早く確実に売りたいときは【不動産会社査定】

「離婚や相続の財産分与のために家を早く売りたい」「頼みたい不動産会社が決まっている」
そういった方は、お目当ての不動産会社に直接査定を依頼すれば(3社くらいに頼んで比較するのがおススメ)、最初から正確な価格が出てくるので話が早く進みます。

査定は、不動産会社のホームページ、電話、直接店舗に出向いて依頼してください。無料で行なってくれます。

1-3-1.不動産会社の査定は「机上査定」と「訪問査定」の2つ

不動産会社の査定には「机上査定(簡易査定)」と「訪問査定」があります。

「机上査定(簡易査定)」は「一括査定」と同じで、実際の物件を見ずに住所や面積、築年数等の条件だけで類似データをもとに査定します。
短時間で結果は出ますが、会社によって査定時の項目が違い、出てくる価格の精密度にもバラツキがあります。
どちらにしてもデータベースからの概算なので、参考程度に聞いておきましょう。

「訪問査定」は不動産会社の人が実際に物件を見て、敷地の形状や建物の状況、近隣の環境なども含めて査定するので、正確な価格が出てきます。(どこを見るかは「5.家の査定で見られる9つのポイント」を参照。)
本気で売却を考えている方は「訪問査定」が必須になります。

1-3-2.「不動産会社査定」のメリットは正確な査定額が出て、アドバイスももらえる

「訪問査定」を受ければ現実的な売却価格が分かるのが最大のメリットです。
また不動産会社の人と対面できるので、売却についてわからないことや準備すること、良く販売するためのポイント等も訊くことができます。
複数の会社に頼む場合は、自分の目で担当者の様子や具体的な販売プランが確かめられ、自分に合う良い会社を選別することができます。

1-3-3.「不動産会社査定」のデメリットは準備が必要+結果が出るのに時間がかかる

「訪問査定」の場合、日程の調整や必要書類の準備、掃除等があるので、若干面倒なところはあります。(「3.家の査定の前にやるべきこと」「4.家の査定に必要な書類」を参照。)
また、精密に査定するため、結果が出るまでに数日〜1週間程度の時間がかかります。

1-3-4.「不動産会社査定」は、実際に売却をする時に使う

不動産会社の査定には、家主側も不動産会社側もいろいろと手間がかかるので、本気で売却を考えている場合に頼むようにしましょう。
査定は無料ですが、もちろんそれは将来的に売却の仲介を任されたいからのサービスです。売る気もないのにむやみに査定を依頼すると、後に営業の電話やメールが頻繁に来て煩わしいことになるので気をつけましょう。

1-3-5.おススメの「不動産会社」サイト

不動産仲介会社のトップ3は「三井不動産リアルティグループ」「住友不動産販売」「東急リバブル」です。参考までにそれぞれのサイトをご紹介します。

不動産会社には「マンションが得意」「戸建てが得意」など特徴があります。
また、大手ではなく地域の不動産会社の方が土地に理解があって、販売に強い場合もあります。
不動産会社はそれぞれの良い点をチェックして、多角的に検討してください。

「三井のリハウス」
三井不動産リアルティグループは34年連続全国売買仲介取扱件数1位。その中の個人向け不動産仲介が「三井のリハウス」です。全国展開する「三井のリハウス」は地域密着型で安定したサービスが人気です。

「住友不動産販売」
問い合わせ時からアフターフォローまで一貫したマンツーマン営業体制で、安心サポート。戸建ての販売に強く、査定額も高めといわれています。

「東急リバブル」
売りたい空き家マンションをリフォームして家具までコーディネートする「アクティブ売却パッケージ・アクセル君」や中古住宅の設備や土地の地盤を保証する「リバブルあんしん仲介保証」等、独自のサービスがポイントです。

仙台市の不動産売却ならホームセレクト

地方の不動産なら、地元密着で実績が多くあり、評判がいい会社をチェックするのがおススメです。
例えば、仙台市なら「ホームセレクト」。
“知人・友人に薦めたい不動産会社”“お客様満足度の高い会社”“サポート対応満足度”でNo.1を獲得(不動産会社(仙台市エリア)10社を対象にしたサイト比較イメージ調査・ゼネラルリサーチ調べ)。親切丁寧な対応で高い評価を得ています。「売却するか迷っている」という状態から何でも相談できます。

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1-4.【匿名査定】【一括査定】【不動産会社査定】の比較一覧 

「匿名査定」「一括査定」「不動産会社査定」のメリット・デメリットを一覧にしてみました。

  • 「匿名査定」は、個人情報を知られたくない方、ちょっと試しに家の価格を出してみたい方に
  • 「一括査定」は、家の売却を考えていて、相場を知りたい方、不動産会社を選びたい方に
  • 「不動産会社査定」は、現実的に家の売却を進めたい方に

それぞれおススメです。

また、現実的に売却を進める場合は、
①「匿名査定」をして
②その気になったら「一括査定」で相場を見ながら、不動産会社を3つくらい選び
③「不動産会社の訪問査定」を受ける
という順番が妥当です。

匿名査定

一括査定

不動産会社査定

メリット

・個人情報がいらずに気軽にできる
・結果が早い

・一度に複数の不動産会社に査定を頼める
・良い査定額が出る可能性がある

・正確な査定ができる
・詳しい販売プランが分かる
・不動産会社の印象が分かる

デメリット

・査定額が正確ではなく、目安にしかならない

・営業電話やメールが来る

・日程調整や書類の準備が必要
・結果が出るのに数日〜1週間程度かかる

不動産鑑定士に頼むべきケースとは

離婚や相続の財産分与等、裁判や税務署・銀行に「鑑定評価書」を提出する必要がある時は、不動産鑑定士に「鑑定」を頼みます。不動産鑑定士は国家資格で、「鑑定」には法的効力があるからです。(しかし、病院やゴルフ場等の特殊な不動産の場合が多く、一般的な家の売却ではほぼ頼むことはありません。)

不動産鑑定士に鑑定を頼むと費用の相場は10万〜30万円、鑑定結果が出るまでに数週間〜1カ月程度かかります。

2.家の査定から売却までの流れ

家の査定から売却までの流れをおおまかに頭に入れておきましょう。
全体像がつかめると各ステージで戸惑わず、事が運びやすくなります。

査定から売却までは通常4カ月〜6カ月。買い手のローンの審査等により、それ以上かかる場合もあります。

2-1.家の査定の流れ

家の査定の流れは以下の通りです。

「一括査定」等で不動産会社を選んだら、
①不動産会社に「訪問査定」を依頼する
②訪問日時を決める
③必要書類を準備する
④「訪問査定」を受ける
⑤結果を受け取る
⑥媒介契約を結ぶ
 ↓
販売開始

それぞれを簡単に解説していきましょう。

①不動産会社に「訪問査定」を依頼する

「一括査定」等で選んだ不動産会社3つくらいに「訪問査定」を依頼します。
査定方法は会社によって違い、査定額の開きが数百万円あることもあるからです。
必ずあいみつを取って比較して、より良いところを選ぶようにしましょう。

②訪問日時を決める

不動産会社は火曜・水曜が定休のところが多いもの。それ以外の日にちで、自分が立ち会える、明るい日中の2時間くらい取れるところで決めましょう。

③必要書類を準備する

必要書類は「4.家の査定に必要な書類」を参照ください。
書類は事前に提出したり、当日、もしくは後日でも良い場合があるので、不動産会社に確認してください。

④「訪問査定」を受ける

不動産会社の人に実際に物件を見てもらいます。
チェックするポイント等は「5.家の査定で見られる9つのポイント」を参照ください。

⑤結果を受け取る

「訪問査定」を受けた後、数日〜1週間くらいで結果が出ます。複数の会社の回答が揃ったところで、どこに頼むか決めましょう。

この時、査定額については、なぜこの金額になったのか根拠をよく聞いてください。
中にはどうしても契約してほしくて、実際には成約が難しい数字で出してくる場合もあるからです。
そうなると売り出してからどんどん価格を下げることになったり、長期間売れないといった事態になることもあります。納得できる数字の説明がきちんとできるか、確認してみてください。
また、販売プランやフォローの仕方、担当者の印象等、多角的に見て不動産会社は決めるようにしましょう。

⑥媒介契約を結ぶ

信頼できる不動産会社があったら媒介契約を結び、売却活動が開始となります。

念のため、媒介契約後の流れもご紹介しておきます。

2-2.家の売却の流れ

媒介契約を結んでからの流れは以下の通りです。

①媒介契約を結ぶ
②売却活動
③内覧の対応
④売買契約を結ぶ
⑤引き渡し

それぞれを解説していきましょう。

①媒介契約を結ぶ

査定で信頼できる不動産会社が見つかったら媒介契約を結び、家の販売価格やプランを決めて、いよいよ家の売り出しスタートです。

ちなみに不動産会は必ずしも1つにしぼる必要はありません。同時に複数の不動産会社と契約を結ぶ方法(一般媒介契約)もあります。詳しくは「媒介契約とは?3種類の媒介契約の違いと選び方をわかりやすく解説」を参照ください。

②売却活動

不動産会社は広告等の売却活動をし、その報告を随時売主に行ないます。

③内覧の対応

物件に興味を持つ人が現れたら、内覧をしてもらいます。

売主はここ一番に掃除をしっかりしましょう。特にキッチンやトイレ、お風呂などの水まわりはよく見られます。玄関とリビングも家の印象を大きく左右するのできれいに片付けでおきましょう。

④売買契約を結ぶ

不動産会社に購入の申込みがあったら、不動産会社が売主と買主の間で条件等を調整します。
無事調整が取れたら、売買契約を結びます。
この時、買主は手付金を売主に支払います。売主は不動産会社に手数料の半額を支払います。

⑤引き渡し・決済

売買契約から1カ月くらいで、引き渡しと決済が同時に完了します。
売主は不動産会社への手数料の残りや諸費用を支払います。

家の売却については、「家を売る手順を図解でわかりやすく解説!初めての売却でも損しない方法」もご参照ください。

3.家の査定の前にやるべきこと6つ

家の査定の前にやるべきことは、「査定で聞かれることを先に確認しておくこと」です。

よく「リフォームしておいた方が高く売れるのではないか」と心配する方がいらっしゃいますが、リフォーム代の方が高くついて損をする場合もあるので、査定のためのリフォームは止めておきましょう。

それでは「先に確認しておくこと」をあげていきます。

3-1.ローンの残高の確認

住宅ローンがある人は、正確に残高を把握しておきましょう。

銀行に行くと「ローン残高証明書」を発行してくれます。
ローンは売却時に全額返済しなければなりませんので、必ずこの額以上の値段で売るようにします。

3-2.書類の確認

査定に必要な書類は、以下になります。

①身分証明書
②住民票
③登記簿謄本(登記事項証明書)
④登記済権利書(登記識別情報)
⑤土地の測量図、または建物の図面
⑥購入時の売買契約書や重要事項説明書
⑦固定資産税納税通知書、または固定資産税評価証明書

詳細については「4.家の査定に必要な書類」をごらんください。

3-3.境界線や土地の状態を確認

戸建ての場合は、隣の家との境界線があいまいになっている場合があります。
あいまいなままだと売却後のトラブルに発展することがあるので、不動産会社にその旨を伝えてください。販売までに測量等で境界線を明確にする作業を行います。

また、もとが工場跡地だった等、土壌汚染の可能性がある場合も、すみやかに不動産会社に伝えてください。状態に応じた必要な作業を行なってくれます。

3-4.家のマイナスポイント、アピールポイントを確認

家の瑕疵などマイナスポイントと、修繕の記録等のアピールポイントを確認しておきましょう。

瑕疵が査定で発見されず、売却後に発覚するとトラブルになり、慰謝料の請求や損害賠償、契約解除に発展することもあります。
知っている瑕疵は包み隠さず伝えるようにしましょう。

またアピールポイントは自分から言わないと、不動産会社はわからないことも多いもの。
少しでも良い査定をしてもらうために、メンテナンスや修繕、リフォームの記録等を確認したり、環境や利便性の良さをまとめておきましょう。
アピールポイントについては、「
6.高く査定してもらうための対策6つ」も参照ください。

3-5.価格や売却等、売却の希望を決める

販売について希望がある場合は、先に全部伝えておくのが鉄則です。
「いくらで」「いつまでに」という希望があれば明確にしておきましょう。
特にローンの残りがある場合、最低でもローンの残り以上の価格で売らなければなりませんし、引越し等が差し迫っている場合も時期をハッキリ伝えておく必要があります。

その他、「近所にバレないようにして欲しい」等の希望があればそれも伝えておきましょう。

3-6.相場の確認

自分でも家の相場を把握しておくと、不動産会社が出してきた価格がどの程度の物か判断できて安心です。
査定額をそのまま鵜呑みにすると大損をする場合もあります。

家の相場を知るには「一括査定」を利用したり、成約価格をもとにした不動産取引情報提供サイト「レインズ・マーケットインフォメーション」や国土交通省「不動産取引価格情報検索」を使って確認してみてください。

4.家の査定に必要な書類

家の査定に必要な書類があります。(なくても査定は頼めますが、売却までには必要になります。)
何を用意すればいいかは物件によっても違うので、不動産会社に事前に問い合わせてください。
ここには一般的な査定に必要なものをあげておきます。

①身分証明書
身分証明には写真付きのパスポートや免許証、国民年金手帳等が使えます。

②住民票
区役所や市役所で取得できます。
自分が今住んでいるところと売りたい物件が違う場合、両方の住民票が必要になります。

③登記簿謄本(登記事項証明書)
法務局で取得できます。戸建ての場合は、土地と建物にわかれているので2枚必要になります。
土地や建物の所在地や面積、所有者、権利関係等が分かります。

④登記済権利書(登記識別情報)
所有権取得者が登記を済ませた時にもらうもので、自宅に保管してあるはずです。戸建ての場合は、土地と建物にわかれています。

⑤土地の測量図、または建物の図面
法務局で取得できます。
土地の形状・面積・測量方法や、建物の図面が記載されています。

⑥購入時の売買契約書や重要事項説明書
物件を購入した時に受け取り、自宅に保管してあるはずです。
これで法令上の制限等、目に見えない物件に関する詳細な事項まで確認できす。

⑦固定資産税納税通知書、または固定資産税評価証明書
固定資産納税通知書は自宅に郵送されてくるものです。
固定資産税評価証明書は区役所や市役所で取得できます。

この他にもあると査定に有利な書類があります。
詳しくは「6.高く査定してもらえる6つのポイント」を参照ください。

5.家の査定で見られる9つのポイント

家の訪問査定で不動産会社が見るのは、主に以下のポイントです。
この他に、所有権や法令上の制限等の目では見えない部分を書類で確認して、総合的に査定されます。

①<構造・築年数>構造がしっかりして築浅か
中古物件は当然ながら築浅なものが人気があり、築年数は売却の一番重要なポイントになります。

国税庁では法律上の「減価償却資産の耐用年数」を家の構造別に定めていて、木造の住宅の場合は22年、鉄筋コンクリートの住宅の場合は47年となっています。(詳細は国税庁の「主な減価償却資産の耐用年数」を参照ください。)

戸建ての場合、マンションより法的な耐用年数が短く、木造だとすると20〜22年で資産価値がゼロになってしまいます。この場合は土地の価値で査定されることになります。

②<面積・間取り>広くて使いやすい間取りか
戸建ての場合は床面積、マンションの場合は専有面積が広いほど査定は高くなります。
間取りは使いやすく、導線が良いか、部屋数、収納の多さ等を確認されます。
間取りは一般的なものの方が評価が高く、個性的すぎるものは需要が少なくなるので低く評価されます。

③<日当たり・通気性>日当たりや通気性が良いか
当然ながら日当たりが良い方が評価が高くなります。
家全体が南向き、東向きだと人気が高く、西向きや北向きは人気がないため評価が下がります。

また日本は湿気が多いので、通気性も大事なポイントです。
風通しが良い造りか、24時間換気システム等があると高評価につながります。

④<水まわり>キレイで設備が良いか
キッチンやお風呂等、経年の汚れが目立つところです。
しかし、査定前に急いで掃除しても、あまり評価に影響はありません。日頃の手入れが大きな差につながるので、カビや汚れは早めに対処しておきましょう。
排水口や蛇口の状態等もチェックされます。

高級システムキッチン等の設備部分のグレードは評価の対象になります。

⑤<設備>太陽光など最新設備があればなお良し
太陽光発電機や床暖房等の最新の設備があれば、高評価につながります。

⑥<外装>メンテナンスしてきたか
戸建ての場合、定期的に外装や屋根をメンテナンスしてきたかどうかで、家全体の劣化具合が変わります。数年に1回塗料の塗り直しを行なっていて破損や腐食が抑えられていれば、高評価につながります。

⑦<雨漏りやシロアリ被害>修理や対策をしてきたか
雨漏りやシロアリの被害等、瑕疵になる部分があればマイナス評価になります。
とはいえ、売主は瑕疵を知っていた場合は申告する義務があるので、隠さずに報告してください。
すでに修理している場合も報告しましょう。

⑧<土地の形状・立地・接道状況>使いやすい形や道幅か
土地の形状や立地が使いやすいものであるか、家の前の道幅が車が入りやすい程度あるか等がチェックされます。

土地の形は一般的に四角や長方形、角地、眺望が良いものが人気で、いびつな形や使いづらい場所にある場合、道幅が狭い場合、四方を隣の家にピッタリ囲まれている場合は評価が下がります。

⑨<利便性・周辺の環境>便利で治安がいいか
交通の便や駅までの距離、周りに商店街、病院、学校等があり生活しやすいか、治安が良いかが見られます。
また騒音や近隣とトラブルはないか等も評価されます。

マンションの場合は、この他に、

  • 階が高いほど高評価
  • 管理状態や修繕の記録
  • 共有部分の状態や設備の良さ

等もチェックされます。

不動産会社が行なう査定の方法は「取引事例比較法」「原価法」「収益還元法」の3つ
不動産会社の査定方法は3つあり、どの方法で行なうかは会社や物件によって変わります。

①「取引事例比較法」
類似物件の成約事例を参照して査定を行なう方法です。主に土地やマンションに用いられます。

②「原価法」
同じ建物をもう一度新しく建てた場合の費用を出し、築年数分をマイナスしていく方法です。主に戸建てに用いられます。

③「収益還元法」
もし投資用物件として貸し出した場合に、どれくらいの利益が見込めるかを考えて算出する方法です。主に投資用物件に用いられます。

これらをベースに物件の条件や環境等がプラスマイナスされていきます。
査定の気になる点は、遠慮なく不動産会社に質問してみてください。

6.高く査定してもらえる6つのポイント

高く査定してもらうための対策は、「物件のアピールポイントを積極的に示すこと」です。それを証明する書類があればなお効果的です。

高評価につながるアピールポイントには以下のようなものがあります。
用意すると査定に有利な書類もあげておきます。

ポイント①新耐震基準を満たしている

1981年6月から建築基準法の改正により、新耐震基準が用いられています。
それ以前の物件でも耐震補強を行い、新耐震基準を満たして耐震基準適合証明書を取得すればアピールポイントになります。
新耐震基準を満たすと住宅ローンの優遇等があり、販売に有利になります。

【用意すると有利な書類】
耐震診断報告書
耐震基準適合証明書

ポイント②住宅性能評価を取得している

2000年4月から「住宅品確法」に基づいてつくられた「住宅性能表示制度」。構造や火災時の安全性、温熱環境、空気環境等、10分野について評価し、住まいの性能を等級や数値で表したものが住宅性能評価書です。
これがあると住宅ローンの優遇や保険料の割引等があり、販売に有利になります。

【用意すると有利な書類】
住宅性能評価書

ポイント③インスペクションを行なっている

インスペクションとは専門家が行なう家の健康診断のようなもの。劣化や欠陥をチェックして、家の状態を報告してくれます。
この報告書があると査定がより正確に行え、販売にも有利になります。

【用意すると有利な書類】
インスペクションの報告書

ポイント④定期的なメンテナンスを行なっている

屋根や外壁、シロアリ対策やクロスの張り替え等、定期的なメンテナンスを行なっていると建物の劣化が防げるため、高評価のポイントになります。

【用意すると有利な書類】
リフォームや修繕の契約書や報告書

ポイント⑤瑕疵担保保険がついている

瑕疵担保保険とは、購入後に瑕疵が発見された場合、修繕費等が支払われるものです。
瑕疵担保保険に加入するには、新耐震基準を満たし、インスペクションに合格している建物であるのが条件になります。
この保険があると販売に有利になります。

【用意すると有利な書類】
瑕疵保険の付保証明書

ポイント⑥住みやすさや環境の良さ

住みやすさは実際に住んでいる人にしかわかりません。春夏秋冬、朝から夜まで、時期や時間によって環境は変わります。

例えば「川が近くにあるから夏は涼しい」「道路は近いが夜は意外と静か」「深夜まで開いているスーパーがあって便利」「近隣の人がいい人でトラブルが起きたことがない」等は、買い手にとっては重要なポイントです。

些細なことでも良い点は積極的に伝えていきましょう。

【用意すると有利な書類】
周辺の環境がわかる地図等
マンションの管理組合規約
マンションの維持費関連書類

7.まとめ

今回は家の査定について解説しました。ポイントは以下の通りです。

  • 「匿名査定」は、個人情報を知られたくない方に
  • 「一括査定」は、相場を知りたい方や不動産会社を選びたい方に
  • 「不動産会社査定」は、現実的に家の売却を進めたい方に
  • 査定は必ず複数の会社に頼んで、査定額や販売プランを比較する
  • 瑕疵やアピールポイント、売却の希望は自ら伝える
  • アピールポイントを裏付ける書類を提出すると査定に有利になる

査定に関する疑問点はそのままにせず、納得するまでどんどん不動産会社に質問してください。
その方が不動産会社も気が抜けなくなります!

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