不動産購入コラム
20~30代前半の若年世帯に大人気の「40年ローン」とは?メリット・デメリットを解説
住宅ローンの返済期間といえば35年が主流ですが、実は近年、返済期間を「40年」に延長する銀行が増えていることをご存じでしょうか?
弊社ホームセレクトでも、若年世帯を中心に40年ローンの取扱いが増えています。「40年間もローン返済を続けるなんて……」と思うかもしれませんが、低金利時代には40年ローンも一つの選択肢として有効になるのではないでしょうか。
そこで今回は、40年ローンの概要とメリット・デメリットについて解説していきます。
住宅ローンは35年だけじゃない!40年ローンとは
2023年現在、民間の住宅ローン商品の多くは返済期間(借入期間・融資期間とも呼ぶ)が35年に設定されています。そのため「住宅ローンの借入れは最長35年」「住宅ローン返済期間といえば35年」というイメージがある人は少なくないでしょう。
ところが、近年は35年以上の住宅ローンを提供する金融機関が少しずつ増えています。特に取扱いが増えているのは地域密着型の地方銀行です。弊社ホームセレクトでも、七十七銀行、仙台銀行、北日本銀行、山形銀行や東邦銀行やろうきん、JAバンクなど幅広い地方金融機関の40年ローンを販売しています。
40年ローンは、このような地方銀行独自の住宅ローン商品と、長期固定金利のフラット50に分けられます。詳しく見ていきましょう。
40年ローンは大きく分けて2つ
2023年現在販売されている40年ローンの種類は、大きく分けて以下の2つです。
- 【民間ローン】最長40年の独自住宅ローン商品:地方銀行や地方のろうきんなど、主に地方の金融機関が提供している独自の民間住宅ローン。返済期間は最長40年であることが多いが、金利タイプや利用条件、団信などの内容は金融機関によって異なる。七十七銀行や仙台銀行、東北労働金庫でも取扱いあり。
- 【公民協同ローン】最長50年の長期固定金利住宅ローン「フラット50」:住宅金融支援機構と民間の金融機関が提携して提供している、全期間固定金利の住宅ローン。申込年齢は44歳までであり、所定の物件基準※を満たす必要がある。返済期間は36年~最長50年。
※所定の物件基準とは:住宅金融支援機構が定めた技術基準に適合する住宅か長期優良住宅
民間ローンは各金融機関独自の住宅ローンになるため、さまざまな商品があります。
一方、公民共同ローンのフラット50は質の高い住宅の普及を目的とした住宅ローンです。フラット50はさまざまな金融機関で取り扱っていますが、基本的な商品性はどこで申し込んでも変わりません。全期間固定金利であり所定の物件基準があるなど、いくつか条件がある点に留意しておきましょう。
40年ローンのメリット
40年ローンのメリットは、主に以下の3つです。
メリット1.月々の返済額を抑えられる
返済期間を長く設定すると、その分毎月のローン返済額を抑えられます。借入金額3,000万円で返済期間が5年違えばどうなるのかを比較してみましょう。
<35年ローンと40年ローンの違い>
借入金額3,000万円、元利均等返済、ボーナス払いなし、金利年0.6%(金利上昇は考慮しない)で試算した場合の概算値
・35年ローン:約7.9万円
・40年ローン:約7万円(▲0.9万円の差額)
上記のとおり、同じ借入金額3,000万円でも、35年ローンと40年ローンでは毎月の返済額に1万円近い差額が生じています。負担を抑えることで、余裕をもった返済計画を立てられるでしょう。
メリット2.借入金額を増やせる
返済期間を伸ばせば毎月のローン返済額を少なくできるため、借入金額を増やすことも可能です。
「子育て期間は家計の負担が増えるので、毎月のローン返済額は月8万円以下にしたい。でも、35年ローンだと8万3,000円になる。もう少し抑えられないか……」
こんなとき、返済期間を長くすることで借入金額を増やせます。当初の希望予算より高い物件も候補に入れられるため、購入住宅の選択肢が広がることもメリットです。
メリット3.団体信用生命保険の保障を長く持てるようになる
住宅ローンには、契約者に万が一のことが起きた際、保険会社がその時点のローン残債分を契約者の代わりに立て替えてくれる(支払ってくれる)団体信用生命保険制度(通称「団信」)があります。
団信の保証期間は返済期間と連動しているため、40年ローンであればより長く保険制度を維持できます。
万が一の際でも、家族にローン負担を残さずに大切な住宅を守れる団信を長く維持できるのも、40年ローンの大きな魅力です。
40年ローンのデメリットと対策
一方、長期にわたり返済が続く40年ローンにはデメリットもあります。
ここでは、デメリットごとの対策方法もあわせて解説します。借入れのリスクを少しでも軽減したい人は、参考にしてみてください。
デメリット1.長期の借り入れになるため老後の負担が大きくなる
40年ローンは長期にわたり返済を続けるため、計画的に返済していかなければ老後の生活に大きな負担が生じる可能性があります。
たとえば30歳で40年ローンを借り、繰り上げ返済せずに40年間返済していけば完済時年齢は70歳です。一般的な定年年齢は60歳で、企業の多くが導入している再雇用制度は65歳まで働けますが、65歳以降の雇用機会を保証している企業はそう多くありません。そのため、65歳以降に働く場所が見つからず年金生活になった場合、退職金や貯蓄を取り崩す必要も考えられます。また、変動金利の場合は40年のうちに金利が変わる可能性もゼロではないでしょう。
老後の負担を抑えるための対策は、とにかく早めに借りること。そして計画的に貯蓄し、出費がかさむ子育てが落ち着いた段階で繰り上げ返済できるように備えておくことです。
弊社ホームセレクトでも、40年ローンは20代前半から30代前半の若年世帯の借り入れが目立ちます。若年世帯は返済期間を長く設定できること、今後年収が上がる可能性があることが強みです。「いずれは住宅購入を」と考えている世帯は、早めに借りることを検討してみてください。
デメリット2.40年ローンを選べる金融機関が限られている
先述したとおり、2023年時点で販売されている40年ローンのほとんどは、地方の金融機関か全期間固定金利のフラット50です。
全国区のメガバンクやネット銀行では、まだまだ最長35年の住宅ローンが主流になっています。日本は社会的な高齢化に伴い、定年年長の延伸など高齢期就労が促進されているため、今後は40年ローンの取扱いが広がる可能性はあります。ただ現時点では40年ローンのプランは少なく、35年ローンと比べるとプランの選択肢は限られる点には注意が必要です。
一方で、地方金融機関の住宅ローンは商品に独自性があり、サポートも充実しています。せっかくなので、地方ならではの40年ローンを選ぶのもおすすめです。少ない選択肢の中で自分に適した住宅ローン、金融機関を選ぶには、複数の金融機関を取り扱っている不動産会社に相談しましょう。弊社ホームセレクトでも複数社の取扱いがあるため、各ローンの違いや特徴について知りたい人は、お気軽にお尋ねください。
まとめ
長らく住宅ローンの低金利市況が続く中、40年ローンは「低金利の住宅ローンを長く持てる=良い条件での借り入れ・団信保証を長期にわたり維持できる」ローンとも言えます。
もちろん長期にわたる借り入れによる精神的な不安を感じたり、老後の生活に響いたりする可能性もあるため、すべての人に40年ローンがおすすめとは言えません。ただ、現在20代~30代前半までの方は働ける時間が長く今後収入が上がる可能性もあることから、40年ローンを選択肢に入れるのも一つの方法です。
なお、老後も安心できる手堅い返済計画や各40年ローンの比較相談については、弊社ホームセレクトまでお気軽にお声がけください。住宅のプロとして、お客様に最適な返済計画や住宅ローンをアドバイスいたします。